2013年12月14日

【VOX AC4C1 mini BL】

私はプレイヤーではないので大きなアンプは必要としていない。
チェック用に小さなトランジスタアンプを使ってきたが、クリーンサウンドではいいものの歪ませた場合には納得していなかった。
クランチの美味しい音を求めると、エフェクタではやはり限度はある。
しかし例えばメタル系の深く歪んだ音であれば、それなりのエフェクタで作っておいてアンプ側はクリーンのセッティングにすると楽だったりもする。

KORGがVOXブランドを扱い出したのはそんなに古い話ではないが、私はあまり興味がなかった。
アンプヘッドが1万円程度と格安だったが売り切れで入手困難になり、スピーカ付きのコンボアンプもあったことを知る。真空管アンプとして自作するよりも安価。
10インチスピーカ搭載モデルの方がギターアンプとして音質的にもバランスがいいはずだが、コンパクトで安価な6.5インチモデルに決定。公式サイトはこちら

R0011823a.jpg
爬虫類の皮革のような質感の青いクロス貼り、アイボリーのアクセントカラーが効いたハンドル。
このデザインは好印象。

機種名を問わず『 V O X ア ン プ 』で検索される方が非常に多いようだ。
公式サイトを見ても明らかなように、ブランドとして多くの機種を揃えている。
伝統的な真空管タイプでさえ出力に応じたラインナップ。
ここはAC4C1について記載したもの。
その他に関しては同じ真空管を使っていても回路が異なって当然であり、真空管を使っていないものやAC電源ですらないものを探されてる方には全く無意味なエントリである。


真空管の構成としては12AX7を2個使ったプリ、EL84シングルのパワーアンプ。
Bass/Trebleの前にゲインコントロールも装備され、小音量で歪ませるにも最適。
R0011824a.jpg
ゲインを上げることによってザラザラとした感じに変化していく、この音が欲しかった。
スピーカのサイズを考えると音圧も充分満足。
ノーマルストラトではTrebleを抑え気味に、ローパワーPUのレスポールではちょっと上げて。
ピッキングによってトーンが変わる反応が楽しい。トランジスタアンプにこの味は望めない。
これは安定した音で弾き続けるためにはウデを要求されるということでもある。
絶対的なクリーン系トーンが欲しいならリミッターかコンプレッサーだが、私の場合は歪みエフェクタを前段に接続して弾きムラを抑えることで使い勝手が良くなる。
過去のAC4モデルの特徴でもあった出力アッテネータの代わりに本機にはヘッドフォン/ラインアウトが装備されている。小音量でも結構歪むのでこの変更はそんなに気にならない。
ノイズも私の部屋ではごくわずか。本機の着脱式ACケーブルは3ピン仕様で、一般的なコンセントに挿すための2ピンアダプタも付属。ノイズが気になる環境ではアース配線された3ピンコンセントを推奨したい。

バックパネルを閉じたデザインであるが、上下に放熱スリット(実質的に板厚分の深さしかないのでバスレフとは呼べない)が開いていてそこからも音が漏れる。
トーンの効き具合にクセがある。Bassは効きが足りなく感じられ、またTrebleは上げるとファズっぽく痩せた音になってしまうのが残念。カタログで謳う「トップブーストサウンド」とはこのキャラクターなんだろうか。
イマイチのBassはスピーカユニットを交換する(または大口径スピーカを載せたキャビネットで鳴らす)ことで改善されるはず。高域の方はコンデンサを変更して周波数レンジを下げることで対応可能か、そのためにも回路をチェックする必要がある。

外寸は10Wクラスのトランジスタアンプと同等、正面バッフルが目の粗いパーチクルボードでキャビネットは9mm厚MDF板で構成されている。
R0011835a.jpg

内部には余裕があり、その気になればEL84プッシュプルに可能かも…と思われるスペース。
R0011831a.jpg

手を入れたい項目は次の通り。
1. トーン回路のアレンジ
2. Send/Returnジャック追加
3. 外部スピーカ接続用出力ジャック追加
4. スピーカユニット交換

Trebleと同時にBassもチェックし、より好みの音質にしたい。
プリアンプ出力(ボリウム入力端子)のまま外部エフェクタへ入力するにはレベル過大、ギターレベルまで落としてSend端子へ。Return端子に入った信号を元のレベルに戻してからボリウムに接続。
具体的には1/20〜1/10程度に抵抗分割し、その分をオペアンプで増幅する回路も追加。増幅は1段でいいので5534を予定、ただしその追加回路用の電源はAC入力から分岐して用意する必要がある。既存真空管回路の電源から安易に取り出すのはトラブルの元。
バックパネルそのものを加工する前に、同じサイズに加工した板を用意しジャックを増設して様子を見る。
箱のサイズとしては10インチスピーカも収まるが、正面外装上部にあるブランド名デザインのため6.5インチ(その昔は「ロクハン」と呼んでいた16cm)しか適合しない。デザインを生かしたまま現状のバッフル開口径を拡大することは困難と判断した。
このアンプの出力インピーダンスは16Ωで、8Ωのスピーカを使う場合は厳密には出力トランスを載せ換える必要がある。
しかしボリウムを絞って出力音量を低く抑えた使用方法に限り、8Ωスピーカであっても特に問題にはならないはず。逆に4Ωでは極度なオーバーロードになってしまい、これはキケン。
また、8Ωスピーカに8Ωの抵抗を直列に接続するとインピーダンス適合のまま簡単に出力を1/2に下げることも可能。
ギターアンプの高域は2kHzもあれば実用には充分で、10kHz以上まで伸びたフルレンジの必要はなく低域を優先したいのでオーディオ向けユニットではウーファーの方が適している。
16(8)Ωの16cmウーファーとなると選択肢が狭いのが難点。

基板材はベージュ色だが紙ではなくガラスエポキシ。
DSC_0253b.jpg
真空管アンプは既に「枯れた技術」であり、ギターアンプだからって特別なことはしていないオーソドックスな低周波増幅回路。しかしCR値でVOXの個性(音質)を決定している。つまり著作物として尊重すべきものと考え、起こした回路図は資料として私個人が使う範囲に留め公表するつもりはないので悪しからず。
そのものの画像を希望するのなら検索サイトにて『画像(イメージ)検索』をしていただきたい。
コピー製作する手法もあると思うが、このアンプの場合はパーツ代を合算しただけで本体価格を越えてしまい、基板上だけでなくキャビネット製作の手間を含めても買った方が(パーツの質的な差はあれど)安く済み動作も確実。
真空管の回路はコンセントの100Vよりももっと高い電圧にされているので不用意に触ると感電の危険性があり、エフェクタを数台製作程度の経験では不足なのは間違いない。
基板パターンなどをただ真似するだけで作れると思ったら大間違い。
それでも作ってみたいのであれば、まずは丁寧に理論から解説された書籍を読んで理解すること。

ソフトカバー本は一度絶版、その後にカラーを廃したモノクロ版で復刻。Kindle版もあるようだ。
 


10インチスピーカ搭載の姉妹機の他、12インチ搭載 "HW" という上位バージョンもあり、プリント基板を使わず向かい合わせに設置したラグ板でパーツを配線する旧来の "Point to Point方式" のハンドワイヤリングらしい。

余談だが、ユニバーサル基板を使った配線を「P to P」と称して個人販売されてる方を見かけた。
これだけでも嗤ってしまう。どこでそんなデタラメを覚えたんだろう。
写真を見るとわざわざ両面基板を使っていながら配線は裏側だけで済ませてあり、これも理解不能。
配線材も、被覆の色を考慮しなければミスも多発してしまうのに無頓着。
そんなシロート丸出しの工作で市販品レベルの代金を取るとは…。


出力が4Wということで音が小さいと思われて、音量で検索されることも多い。
アンプのパワーが大きいほど大音量が出せるのは言うまでもないが、絶対的な音量はスピーカに左右される。
スピーカユニットには上述したインピーダンスの他に「出力音圧レベル(能率)」というスペックがある。
これは1Wのアンプ出力を入れた時に1m離れた地点で聴こえる音量を "dB" で表したもの。

AC4C1 miniのスピーカは素性が分からずこの数値も不明なので、同等の6インチサイズを探したら、16Ωは無く8ΩのJensen Mod 6-15Eminence 620H-8が見つかった。
6-15は89.9dB、620H-8は96.4dBとある。また6dBの差があった場合、聴感上で2倍の差に相当する。
繰り返すがこれは出力1Wで距離1mの音量、数字だけでピンと来ない方には

50dB:書店内
60dB:普段の会話
70dB:掃除機
80dB:ピアノ
90dB:パチンコ店内
100dB:電車通過時のガード下、自動車のクラクション

で理解していただきたい。
これだけの音量になるから実際に住宅街の自宅で使うには4Wでもパワーが余る。
またギターアンプは構成上、プリアンプでゲインを変えることで歪み具合を調整しトーンコントロール(フィルタ)を通して音を作る。その後にボリウムで絞ることで音量を調整し、ゲイン固定のパワーアンプでスピーカを鳴らす。
AC4は歪みが少ないとされるA級増幅回路とアピールしているが、"特別に高級な回路" という意味ではなく素子(この場合は真空管)の増幅特性において正比例部分を利用するべく設計されたもの。音量を上げるに従い入力過大となればパワー管でも歪みを発生する。
プリ管だけの歪みとは異なる圧縮感が、大出力アンプと比較して容易に得られるのも低出力アンプの利点と言えるのだが、その時の音量は自宅で許されないだろうと思われる。


posted by bluesmith at 16:00| 楽器 | 更新情報をチェックする