2015年02月10日

【P BM300】

ある思惑があって購入したムスタングモデル
以前のジャズベ(ともう1本ベースを購入した)は悪くなかったが、しばらく経過しどこまで使える楽器になっているのか。
初心者レベルのレビューをアテにはできないにしても、改良されてより完成度が上がっているはずだろうと期待したいところ。なお一時生産完了とのお知らせが出て、間もなく復旧したらしい。
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しかし…。


箱を開け、外観チェック。
塗装表面はキレイに磨かれている。ピックガードの保護シートは二重に貼られていた。
少しでも木質が良い個体を狙って木目が見えるサンバーストを選択したのだが、アルダーっぽい木目の左右方向継ぎ目が表裏で異なっている不思議。
バックパネルを外してみるとスプリングキャビティの角の塗装が欠けていて、その下層とスプリング下塗装面の木目を確認。
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表と裏では明らかに異なる木目、突板を貼っているのか?
商品紹介ページに「ボディ材:ホワイトウッド」とあるが、白系の色味を持つ木材の一般名称ではなく木材流通業者においては針葉樹「トウヒ」の別称。松に近似した木目で薄いクリーム色のはず。
この実物は暗めの色調で細かい黒点が目立ち、トウヒではない。
ネックにはよく見ると微小なバーズアイ杢がある。
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さて、弦をチューニングしつつ弦高とトラスロッドを調整して弾いてみる。
24.75インチスケール、以前触ったオリジナルの24インチよりも馴染む感覚。
ところが間もなくフレットのエッジで指の皮が切れた。
#400サンドペーパーを掛けて応急処置。
チューニングが不安定で、ペグを回す感触も良くない。
摩擦の大きいストリングガイドも悪さをしてるので2つ共外し1/2弦に取り敢えず円筒形を装着。
これは弦間のセンターに合わせるべきものだが、着いていればいい程度に6弦寄りに装着されていた。
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チョーキングするとガサガサ、フレット表面が研磨されていない。
オクターブチューニングも合わせ、音出し。
3.29kgと軽量なので音の響き的には意外とマトモ。

ここまで把握したので完全分解する。
まず弦を外し、ペグも外す。ポスト側固定ナットの締め付けが甘く、本来は回転止めのためでしかない裏側ネジでキツく締められていた。そのせいかペグが傾いて陥没。
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これはダメである。
工程としてイロハの「イ」であり、どれほど上質なパーツを奢ったところで組み込みが適正でないと本来の性能は発揮されない。
またペグ穴内には何故か黒い塗料もクリア層の下に付着。

ネックを外してチェック。
ボディ側ネジ穴が小さく、ネックセットネジが効いてしまっている。こちら側の穴はネジに対してフリーにしないとネックが浮いてしまうことにも繋がる。穴も位置もちょっとズレてる上に垂直でもない。
22Fながらネックエンドはフルサイズ。
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セオリー通り板目取りのメイプル。ローズウッド指板も紫系の色が強くフラットに近いRなので出来も悪くない。が、残念なことに表面の研磨が足りず一部にサンダー目が残ったまま。ポケットに収まる底面も平らではなかった。

問題のフレットについて考察。
通常は両サイドを指板際に揃えてカットした後に垂直面から斜め35〜45°程度削り落とし、更に角を丸めて仕上げる。これは専用工具などで両端を揃えてから1本ずつ手作業で行う必要があるため、低価格品に期待する方が無茶な話と言えなくもない。
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音家のレビューによく見られる「調整不足…」ではなく適正範囲以上に大きく削り過ぎて、見た目で60°以上に(つまりフレット端部が30°以下:刃物の角度)と薄く鋭利にされてしまってることが原因と判明。
こんな状態では指板際を指で滑らせるだけでスパッと切れてしまい、素手でこのまま演奏するのは危険。
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弦ピッチの狭いブリッジで指板に余裕があるため左右エッジを大きめのRで削り込んでも弦落ちの心配が少なく、フレット摺り合わせと同時にエッジ部分を丸めて磨くことで対処することも可能。握った時にデフォルトよりも丸く感じられるようになってしまうのは仕方ない。

ボディ側、残ったピックガード周りも外す。
斜めだったりバカになってるネジも数箇所、やはり下穴の管理が悪い。生産ラインにおいて、ボディにピックガードを載せてそのまま下穴を開けてネジを打っていると思われ、その切削クズが間に挟まっていた。
パーツを撤去したボディ材の重量は実測1.94kg。
全てのネジ穴を埋め、更にネックポケット中央の穴も埋める。
セレクタスイッチはピックガード上に六角ナット、下にローレットナット。セオリーと逆なのは組み立てやすさを優先したものか。裏面にはこの周囲にだけアルミテープが貼ってあったが、ボディ側キャビティは何の措置もされておらずこんな程度ではシールド効果を望むべくもない。これならコストダウンのために省略しても構わない。
PUはカバーが固着して外せない。F/Rで磁極が逆に設定されたフェライト磁石が底に貼り付けられ、隠されたポールピースは各弦独立。
弦側での磁力は弱めに感じられ直流抵抗値はFが5.13kΩでRが5.20kΩ、パワーを欲張ったタイプではなくノイズも気にならなかった。
ボリウムポットは250kΩB、トーンポットが250kΩAにフィルムコンデンサ0.047μFの組み合わせ。
MGオリジナルの特徴的な独自構造トレモロユニットには大きな疑問があり、それとは異なるストラトでお馴染みの一般的なシンクロブリッジを採用してあるのは評価したい。
スタッドに当たる箇所が厚い面で当たるのでアーミングプレイには向かないプレート、サドル取り付け(オクターブ調整ネジ)穴は精度が悪く約10.5mmピッチ、サドル幅が実測10.3mm。わずかであるが隙間があり弦を張った状態でも左右にブレを生じる。
亜鉛合金製の薄いイナーシャブロックは奥行き35.5mmと短めで非常に軽量、収まるボディ厚の方は40mmではなく実測44mmなので通常のユニット一式でグレードアップも可能。
スプリングもまた必要以上に深く締め込まれていた。5本並んでるとはいえ、ブリッジスタッドネジ穴への負担を考えると最低限度が望ましい。
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ボディ内キャビティだけでなく、ピックガードで隠れる部分も表面の木目と異なっている。
角を確認すると薄いシートが貼られているような状態。突板ではなくプリントした紙かも知れない。
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ネックポケット両サイドが削られて木地が露出、ややグレーがかった白い木質。
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ネックはきちんとセンターに収まっていたが、左右は当然ながら密着していない。

これは『素材』である。
当初からボディ塗装をやり直すつもりだったし、削り過ぎを盛るわけにはいかないのでフレットの打ち替えも予想外ではあったが考慮。
よって「初心者向きモデル」と言ってしまうのは無謀。
構造的な良し悪しの判断と対処法まで分かってる人向けに、それ込みで楽しむ素材。
仮にパーツ交換をしない範囲で手を入れ、その工賃を加算した金額を提示すると初心者が二の足を踏む価格になってしまう可能性がある。


スケールも構成も同じモデルが他社にもラインナップされている。


表面の木目の印象と、ウエストコンター部分に掛けて赤みが多く吹かれた塗装が酷似。
調達先によって異なるはずのプラスチック部品、黒いバックパネルやピックガードの柄も同一。
金物も、前述したセレクタのナット配置も同じ。ストリングガイドが異なる程度の差。
メーカーサイトにある該当モデルにはボディ材を「ポプラ」と記載。
異なるブランドのためヘッド形状に違いはあるものの出処は一緒、疑問は解消された。
サンバーストモデルに関しては多ピースで構成したポプラ材の表裏にアルダープリントシートを貼ったものだろうと結論。

posted by bluesmith at 19:45| 楽器 | 更新情報をチェックする