2020年10月23日

※「改造」など楽器関係で検索された方へ

従来「右カラム」にて提示していた、私の意見をこちらにまとめておく。
なお、他のエントリと同様に文体表現は常体に変更した。


楽器関係については基本的に依頼されて作業し、納品して代金をいただく。
業務である以上、当然その対価と引き換えに保証をしなければならない。
同一工程だったり、なんらかの理由によりここにアップしていない件も少なくない。
また、個人的に使用する機材以外に勝手に製作したものも「提案」として売却を想定している。
職として木工、塗装、及び電機メーカーに従事したこともあり、私が行ってるのは、日 曜 大 工 的 な 趣 味 に準ずる「 D I Y 」のようには考えていないし、ネットに増え続けるアマチュアの「や っ て み た」でもない。


アクセス解析の結果で『 機 種 名 + 改造 』が非常に多い。
具体的な目的も持たないまま検索したところで、どこかにヒントはあるかも知れない。
その前によく考えていただきたいのは改 造 とは目的を得るための、手段のひとつということ。
「楽器は 改 造 してナンボ」とでも聞いたのか、ただいじってみたいファッションだとしても。

まだ何も知らない人が結果も考えずやみくもにいじる、その行為全般を「 改 造 」と呼ぶことを否定はしない。しかし「手を入れること = 改 造 」と呼ぶのは主観的な決めつけ。
私がここで主に記述しているのは、本来の姿に戻して細部の調整までやり直すこと。
安価で提供するためにコストダウンせざるを得ない量産品は、箱出しでは楽器(=道具)として納得しかねる仕上がり。だからといってメーカーを責めても、その値段なんだから仕方ない。
似たような仕様であってもオーダーメイド品(やメーカーでの特別製作品など)では価格的にも別物になっているはず。その差を考えて欲しい。
ダメなものを使える状態にする(オーバーホール、レストア等)ことは修理の範疇でもある。それ以降に各ユーザの好みで行う仕様変更と分けて考えるべきもの。
・絶対的で重要な事実があり、まずは押さえるべき必須項目。
・次に、相対的に「こうした方が適している(可能性あり)」という推奨したい項目。
・更にセオリーなどよりも個人的な好みを優先したい項目。
この3つを混同されてしまう方も少なくない。
自分で実行するとあっさり解決するような項目まで検索に頼るとか、「好み」まで他人に判断を任せてしまうように見える姿勢も疑問が消えない。何が楽しいのか理解しようがない。
ネット全般の問題でもあるが、根拠のない誤った認識による『風説』を信じてしまうのは、それを再拡散することに繋がる害悪。

大雑把に『 メーカー(ブランド)名 』だけで検索するのも乱暴なこと。
メーカー + ギター 』や『 メーカー + アンプ 』も同様。
対象を絞らないと範囲が広くなるため、結果として漏れが多くなる現実を理解しよう。
本体だけでなくパーツに関してもあって、肝心な『機種名』をなぜ入れないのか? たったひとつの製品しか作っていないメーカーなんて私は存じ上げない。
例えば "W" で始まるブランドのブリッジユニットも複数の機種だけでなく、それ以外のパーツもラインナップされてることを知らないんだろうか。
また、機種に依存しない共通する標準的な事項については、機種名を入れてしまうことで漏れてしまうこともあり得る。であればその具体的なポイントが必要ではないか。
当たり前のことだが機種が違えば仕様/構造が異なり、それぞれに見合った対処が必要になる。更に同一機種で異なるパーツを搭載したバリエーションが展開されているのも少なくない。
ギター/ベースに関してブランドを信仰されてる方には信じられない(信じたくない、かも)だろうが、胡坐をかいた本家製品と比較しても品質的に劣っていないコピーモデルが他社により生産販売されていて、機種名を優先しメーカーを条件にしない方が有意な検索結果を多く得られる可能性が高い。
その反面、中古販売業者や個人が「古ければ良い」という、事実に反する思い込みを宣伝文句のように使ってるのも鵜呑みにしてはいけない。オリジナルを凌ぐコピーを大量生産し安価で輸出までした'70年代後半から'80年頃までの国内楽器産業黄金期、その頃に生産された物が全て良質な楽器ではない。マンガ雑誌の裏表紙など、通販メーカーがセットでも展開していた『形だけ真似た』劣悪品レベルの商品を、情報過多な現在にそんな煽り文句で売ろうとする姿は失笑では済まない。

ちなみに、生産完了したFender Japanブランドは米国Fender社との "ブランド名" 使用契約により販売元が独自に国内工場に製造委託して販売したもの。F社とは別の会社であり、創設時に技術的なやりとりはあったが生産から流通まで関わっていないため「Fender製」と記載するのは誤りである。

パーツの不明な点は製造元またはサプライヤーの公式サイトを参照すること。これは原典である一次ソースを優先させることで、調べ物に関して決して怠ってはならない基本原則。
仕様書や図面も提示されているから、そこから規格サイズや特徴も読み取れるはず。
またボリウム/トーン用の回転操作パーツは日本語で「可変抵抗器」、英語では "Potentiometer" であり縮めて「Pot:ポット」と呼ぶ。濁らせた「〜ド」を非常に多く見かけるが誤った表記である。

ここにある内容は公開することが目的であり、どの項目も「正攻法」的なもので『 ウ ラ ワ ザ 』と呼ぶような本来のセオリーから逸脱するようなものは一切ない。
出処不明の不正確な言説に多い話だと思うが、簡単な物理法則と矛盾するようであれば疑うべき。
基礎的なスキルが不可欠であり、具体例のひとつとして実際の作業における解説をしているつもりだが、その全てを記述することは無理。漏れもあると思われるし、敢えて避けた話もある。
ビギナーを対象にしたような懇切丁寧な説明は、私には不可能なので悪しからず。

入手時に行うべきネックまわりや弦高などの調整は「弦のチューニング」と同等の『ユーザが行う知っていて当たり前な常識』である。トラスロッド調整を極度に恐れている(と思われる)方も多いが、他エントリでも述べたようにコンディションを保ち寿命に直結するため必須である。そんなことも知らずに「触っていません」と誇示してしまうのは楽器が可哀想に思えてならない。
それらの具体的な方法は解説する上で特に必要がない限り省略。それでも効率良く進めるためのノウハウはあるし、誰が行っても同じ結果とはならないと思われる。
全く知識がない状態で「やってみた」として、誤った手段により壊すことも予想される。
最悪でも人命に関わるようなことにもならないから、「ご自由にどうぞ」と言うしかない。

方法や手順を「イメージ」で検索される方も疑問を感じるひとつ。確かに『百聞は一見に如かず』は事実である。
中には相当な手間を掛けて動画をアップされるような親切な方もいるようだが、複数の連続画像も同様で結構な負担な上、結果として要領を得られない残念な場合もある。
咀嚼のないように文章で説明するのも容易ではないものの、Webにおいて基本となっているはず。
読みやすく分かりやすい文と、対象が明確で把握しやすい画像/動画。そのどちらが難易度が高いか。
個人的な資質の問題はあるにせよ広くヒットする確率が高いのは前者だろう。
実績のある先人が経験で積み重ねた知恵を取り入れることも役に立つと判断されて検索に頼るのも理解できる。
私の場合はネットなど存在しない時代に、幸運にもウデの確かな職人と出会えて直接教えを乞うた。基礎的な部分からトータルに検証した体系的な理論が既にあり、話していただいた全ての内容に納得した。作業方法はもとより考え方から学べたことも大きく、以後の経験と照らし合わせて知見を増やした。
好奇心/探究心があるなら、最低限度の投資として『エレクトリック・ギター・メカニズム 完全版 (竹田 豊 著)』または『ギターマガジン メインテナンスブック 新装版』は読んでおいて損はない。私は竹田氏とは面識もないが唯一の解説書だと評価している。それほど高価でもない書籍代だけでまとまった知見が入手できるのだから、知らずにいるのはもったいない。
とは言っても、この本の内容を「難しい」と思ったなら諦めた方がいい。理解するための前提知識が不足しているか、どう否定しようが直面する適性の問題もある。
 


ネジを打つ下穴径を他人に訊くような人は向いていないと断言しておく。散財して後悔する前にさっさと足を洗った方がいい。このような工作作業にとどまらず、目の前の状態を把握し考えて行動することさえできないなんて、そんな人生に意味があるのだろうか。そんな姿勢は迷惑でしかないので個人的に近寄って欲しくない。

配 線 図 』を望む方も後を絶たない。残念ながら私は基本的に記載しない。
弱電系技術屋の認識として 配 線 図 とは、基板は既に完成したブラックボックスと見做してポットやスイッチなどパーツ実物に似せた絵で接続状況を示した図のこと。
実物通りに描くような手間を掛けるくらいなら写真で足りるし、電気的な誤解を防ぎ共通の理解を得るには規則通りに簡略化された「回路図」が唯一の手段である。
電気回路関係についてはもしかして「基板裏面の配線パターン」が欲しいのか。回路図が読めないからマルっとコピーして作るために先人の知財をタダで…とは、いかがなものだろう。
その回路図も、ギター/ベースのパッシブコントロールや電源など私が既に覚えてしまってる簡易なモノに関しては省略しているし、販売されている製品に関してもマナーとして同様。それらを必要とされる方は、他サイトや数多く出版されている書籍などを参考にしていただきたい。

独自の言い回しだったり、表現として要領を得ない文言で検索されても検索サイトは読み取ってくれず、解決には遠い。
気になるのであれば、自己解決を諦めて素直にプロに診せる方が確実ではないだろうか。
楽器に限らず一般的に不具合を感じてネットで探しても、結果が得られない場合の方が多いはず。
その推測が見当違いだったり、知識不足ゆえにもっと重篤な問題を抱えた状態になっていたことも数知れず。
個々により施すべき箇所/方法が異なり、誤りのない知識を持ち経験を重ねた者が現物をチェックしないと原因追及と対処は不可能と考えるべき。
ネットなど不確実な他者に頼る前に現物を見て処置方法が思いつかないのであれば、まず「手に負えない」と判断することが賢明。
プロのリペア屋はアナタより詳しいのは当然のことで、生半可に手を着けて失敗し後悔する前に実際に現物を持ち込んで納得するまで直接相談することこそが近道であり、そこから多くのことを学べると考えた方が理解に繋がるだろう。

しかしながら「間違った知識や方法」を絶対的なものとしているプロが存在しているのも事実。
特に公的な資格を必要としない職種であるから、カンバンを掲げていてもそれが信用の証にもならず、見極めは難しいかも知れない。
また販売店経由では「また聞き」になって要望が完全に伝わらなかったり、店員も知識不足のため原因が分からないまま依頼してしまい、リペア作業者の解析能力が低い場合には満足な結果にならないこともあり得る。
受け取りに行ってイヤな思いをすることもあるので、職人を訪ねて直接申し出ることを強く奨めたい。
そのような例で修理調整をやり直した経験もある。
posted by bluesmith at 00:00| 楽器 | 更新情報をチェックする