2016年12月20日

【F SGのレストア】#2

前回はネックまわりを中心に作業を進めた。
引き続き電装系、ボディ各部の詰めを行い組み立てる。
なお、本件も『改 造』ではなく、本来の姿に戻すこと(=レストア)を目的としている。

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【ボディ】
各部のネジ穴は開け直すので一度埋めておく。
テノンカバー下、ネックジョイント部に隙間。ここは構造的にそれほど影響もせず仕方ないとはいえ、やはり修正しておきたい。
F-PUキャビティ側から彫り込み、テノンエンド形状に合わせて削り出したマホガニーを接着。
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この近辺、前述したようにトップ側の塗膜が不均一に盛り上がって平面が出ていない。ジョイント部のバインディングから下と同様に塗膜が厚く段差になってるので削って修正。
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着色層が削れ、木地も露出した箇所もタッチアップ。ここもネックと同時に作業した。
オリジナルのジョイント構造はテノン幅が大きく残され、それを受けるボディ側形状も幅が大きくはみ出るほど大きいのだが本機はネック幅のまま。スムーズな面で繋げているためこの方が弾きやすい形状ではある。
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バックプレートが浮き気味でたわんでいた。開けると落とし込み部分の切削が雑なままだった。トリマでコントロールキャビティもさらっておき、導電塗料でシールド。
プレート取り付けネジ穴も一度埋め、正確な位置に下穴を開けておく。
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表裏2層で各3ピースで構成されたボディ。この頃のフェルナンデスは他機種も含め2プライがデフォだった可能性もある。木工職人の知恵として『厚みのある材は反りや割れが発生しやすい』ことに対処したものだろうか。
その知恵がありながらも、トップ側R-PUからエンドまでセンター20mm幅で別材が埋め込まれていた謎。キャビティをさらったら「割れ」らしき痕跡があった。
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ネック側ストラップピンの位置がわずかに6弦寄り、下穴をセンターに開け直して修正。

【PU】
元のPUを分解してチェック。カバーを外すとパラフィン含浸もされていない作り。内部パーツ構造を確認するための分解もネジを緩めるだけで済んだ。コイルボビンが四角い形状なのはともかく、薄っすらと錆びの浮いたAlnicoと思われる磁石が細くて小振りのためスラグに接していないのが惜しい。
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このような作りなのでオリジナルにこだわる必要もないことを報告、相談した結果手持ちのハムバッカーと交換する。
中古品とはいえ比較的新し目のギターから外した黒ボビンの2個。直流抵抗がF:8kΩ/R:9kΩ程度のペア、強力なフェライト磁石のため使う予定もなく余っていたもの。磁石をそれぞれAlnico23に換装することで活躍してくれそうだ。
真鍮材のベースプレートに載ってるのがフェライト磁石、外したボビンにセットしたのがAlnico2磁石。
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ハンダごてで加熱してパラフィンを溶かしつつ分解。パラフィンで固定されたフェライト磁石を撤去。
ポールピース/スラグの磁極に注意してAlnico磁石をセット、コイルボビンも元通りに固定。組み立て後にもパラフィンを加熱浸透させて収める。冷えてから断線していないかチェックし、外周にアセテート保護テープを巻く。カバーは不要とのことで完了。
エスカッション/ネジ類も新調。エスカッション内側にはPUのグラつき防止にスポンジテープを貼っておく。
キャビティ内をシールドに導通させるため通常はコード穴内を経由して導電塗料で接続させておくのだが、穴径が細く流れにくいと判断してラグをネジ止めする方法を取る。PUのプレート足にラグを通してアースラインを出しておく。
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【電装】
ジャックはSwitchcraft製だったので交換不要、いつものように接合部にハンダを流しておき、ホット側接点に熱収縮チューブを被せる。
横型と呼ばれるスイッチにも同様に緩み止めのハンダを流しておく。
プラスチック製セレクターノブ。一番太い部分に金型分割ラインがあり、操作時に引っかかる感触が気になるので削って曲面をスムーズに揃えて研磨。
4個のポットは定番CTSでもいいが国産ミリ規格ローレットシャフトのBurns 500kΩAカーブにした。マウントネジ径は太いのでボディ側の穴は拡大したが、元のノブが流用できる。
トーン用コンデンサは在庫してあるロシア軍用0.022μF/630Vを2個設置。
アースの処理はテイルピースからのアース線、4個のポット背中に回した線、ジャックのコールド側を接続したスイッチ端子のそれぞれにラグを付け、キャビティ内にネジ止め。各PUもポットに近接した箇所で接続。
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【金物】
ブリッジは幅広タイプ、GOTOH GE103Bを指定された。"ABR-1" と呼ばれるノーマルT.O.M.サイズのGE104Bと同様に、オリジナルでは当たり前のガタが発生せず、弦テンションによる変形に対しても強く改良されたもの。4mm径のスタッドに4.2mmの穴というのは生産時の組み立て誤差としてなら許容できるが、実機にマウントした結果としてガタつきを無視できないのでスタッドロックネジ追加加工。M3タップで下穴のネジを切り、M3x3mmのイモネジをセット。
弦切れ防止のためサドルの弦当たり部分を極細ヤスリで軽く丸めておく。
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接着済みのセットネック構造であるがゆえに、ネックのセンター及び指板幅の延長ラインから見てボディのセンターを合わせなければならない。ブリッジ位置がわずかに1弦方向にズレ。バインディングを張り替えて付近の塗膜を一掃したために現れたようなもの。正面から見て左右両端の弦外が揃わず、このままでは1弦ハイポジションでの弦落ちしてしまう可能性が。ここで「組み立て精度が悪い」と怒ったところで無意味、ネック仕込みからやり直すのも現実的ではなく、妥協できる方法を取る。
2つのスタッド穴を1mmほど6弦寄りに開け直す。
テールピースもアルミ製GOTOH GE101A。こちらの位置修正は大掛かりになるのでそのまま。この程度では特に影響はない。

  

【ペグ/ナットその他取り付け】
まずFクランプを用いてブッシュをヘッドに圧入し固定。
ペグを仮組みするためペグポストにマスキングテープをひと巻き、ブッシュ内径ジャストでガタなく収まる。ここで左右で水平になる位置に揃えて下穴を開けてマウントする。
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今回は、SD90にはオプションであるC.A.R.D.も追加してセット。クルーソンタイプはプレス加工のプレートエッジがネックに食い込んで強く固定されるようにされているが、これは空間を埋め裏面全体を密着させて接触面積を稼ぐアイディア(ノーマル径ブッシュの穴には収まりの良い形状だが、本機の場合はφ10mmなので意味はなくなる)。通常のネジは汎用なべ木ネジ2.1x10mmか2.1x13mmだが、ネジへの負担も増えるので2.4x13mmのステンレス製にサイズアップしておいた。
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ストラップピンも酸化して汚くなっていたので同形状のものに交換。回転摩擦を増加させ緩みにくくさせるためフェルトシートも挟む。こちらのネジは皿木ネジ3.5x25mm
割と目立つ箇所に多用されるGibsonサイズのネジ、交換のため耐久性でステンレス材を選んだが輸入ものなのか仕上げが雑。表面がザラザラなのはサビに対しても弱いので頭だけを研磨しておく。
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GRAPHTECH製の黒TUSQナットを装着。弦溝を切った半完成品もあるが、平行溝では扇状に向かう弦には不適合、手間は掛かるがブランク材を用意。現物合わせで41.5mm長に加工、形状を整えてペグポストへ向かうよう斜め方向に弦溝を切る。
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弦はElixerの010ゲージを指定され、ノーマルチューニングで張り低めのテンションにするためテールピースを上げ気味に。各所調整/チェックして完了。

 


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posted by bluesmith at 20:00| 楽器 | 更新情報をチェックする